学校現場で誰もが当事者になる可能性がある賠償事故について教えてください
学校を取り巻く環境の変化にともない、教職員が児童・生徒や保護者と学校運営や教育指導をめぐってトラブルとなり提訴されるケースがあります。
このような場合、本来であれば学校の設置者である自治体等が責任を問われるのですが、昨今では教職員個人が責任を追及されたり、訴訟を起こされるケースも少なくありません。
訴訟にいたらなくても、「給食を止めるべきだったのに忘れていた」「学校内で草刈り機で草刈りをしていたところ、飛石で駐車中の車を傷つけた」「クラスTシャツを発注ミスした」といったような場合、給食費や修理代、再制作費等を、教職員個人の責任として費用負担が発生するケースが起きています。
このように教職員個人の過失に対して損害賠償を求められてしまうケースがあります。どんなに気をつけて業務を行なっていても事故は起こります。そのようなときに自分の身は自分で守る手段としての補償が必要です。
教職員共済の「総合共済」に「教職員賠償」があると聞きました。
どんな補償内容ですか?
2015年8月14日の朝日新聞でも取り上げられましたが、教職員共済の「総合共済」には補償のひとつに「教職員賠償責任補償」があります。
「教職員賠償責任補償」は、業務遂行に起因した教職員個人の過失に対し、損害賠償を求められた場合に補償するものです。上で挙げた事例なども補償の対象となります。
● 総合共済の「教職員賠償責任補償」ってどんなもの?その特長は?
● 教職員賠償の補償額と支払内容
損害賠償金 (弁護士費用を含む) |
1事故につき3,000万円まで 損害賠償金(弁護士費用を含みます)は、訴訟の有無を問わずお支払いします。国家・地方自治体等からの求償も補償します。 |
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初期対応費用 | 年間 (毎年4月から1年間)100万円まで 事故現場の保存や調査、記録などについての費用をお支払いします。 |
訴訟対応費用 | 年間 (毎年4月から1年間)100万円まで 訴訟にかかわる文書の作成、原因調査、鑑定書作成などについての費用をお支払いします(訴訟になった場合のみ対象となります)。 |
被害者対応費用 | 1被害者につき3万円まで(年間30万円まで) 被害者に対する見舞金、見舞品購入費などをお支払いします。 |
小学校6年生の担任であった友人も、限られた時間で、間違えることの許されない多数の書類作成に追われる中、卒業アルバムのチェック作業もしていました。
神経をすり減らすような思いで作ったにもかかわらず、自分のミスだからといって卒業アルバムの再作成費用を負担するのでは苦労が報われません。そんなもしもの時のために「総合共済」に加入していれば、「教職員賠償責任補償」があるから安心です。
特定社会保険労務士・CFPR 田 泰平
(この記事は教職員共済だより158号(2016年4月発行)に掲載されたものを再掲載しています)