除雪の最新事情

2019年1月9日

毎年、冬になると雪害のニュースが流れてきます。
雪の降る地域の方はもちろん、めったに降らない地域の方も、除雪についての知識を持っておきたいものです。
今回は、除雪の最新事情をお伝えします。

積雪の重さ対策

2014年2月14日から16日にかけて、西日本から北日本の太平洋側を中心に、広い範囲で雪が降り、特に山梨、群馬、埼玉で記録的な大雪となった『平成26年豪雪』。
このとき、関東甲信地方では、学校体育館などの勾配の緩い大きな屋根が崩落したり、カーポートが倒壊するなどの被害が相次ぎました。
雪がいかに重いものであるか、改めて認識した人も多かったと思います。

これらの被害は、積雪後に降った雨によって雪が重さを増したことが原因とみられています。
こうした被害を防ぐため、「一定規模以上の緩勾配屋根については、積雪後に雨が降ることも考慮して建築基準法における積雪荷重を強化すること」とした、建築基準法の改正が行われました。今年(2019 年)の1月から施行されます。

 

 

屋根に積もる雪の重さは?

湿った雪や氷のように固められた雪の重さは、1立方メートルあたり500㎏程度。大雪が屋根に積もっているのは自動車が何台も屋根にのっているのと同じ状態といえます。
積雪に対する建物の強度が確保されている豪雪地帯でも、こまめに除雪をしないと危険です。

 

 

便利な情報を活用しよう

新潟県では「雪おろシグナル」による、積雪量の情報提供が始まっています。
「雪おろシグナル」とは、防災科学技術研究所と新潟大学、京都大学の共同研究により開発されたシステムで、1時間ごとの積雪重量を7段階で色分けし地図上に表示します。

また「積雪荷重計算」によって、 前回の雪かき時から現時点までの積雪荷重を計算することも出来ます。

新潟県以外では、「今冬の降雪・積雪状況」で情報を得ることができます。
北はニセコ(北海道)から南は伯耆溝口(鳥取県)まで、山地の観測点の積雪状況(積雪深、積雪重量など)の速報値を発表しています。

これらの情報は、積雪の高さだけではわからない積雪荷重を知ることができるため、雪おろし作業のタイミングの判断に役立つと期待されています。

 

 

屋根以外の除雪も大切

除雪が必要なのは屋根ばかりではありません。
エアコンの室外機、FF式石油ストーブの給排気筒、給湯機器の給排気口、エコキュートのヒートポンプユニットなどの機器が雪で埋まってしまうと、機器が正常に動作しなくなり、事故や故障の原因となります。
これらも雪で埋もれないように、雪囲いや除雪が必要です。

大雪が降ったときによくあるエアコンやエコキュートの症状と解決法を、わかりやすく紹介したサイトもあります。

 

 

除雪ボランティア

高齢化が進む地域では除雪作業が困難になりつつあり、除雪にはボランティアの協力が不可欠になっています。
除雪ボランティアに参加する際には、除雪作業中における事故に対する注意喚起のために作成された「雪下ろし安全10カ条」(国土交通省)などを参考にしましょう。
また、ボランティア活動保険への加入も忘れずに。

雪下ろし安全10か条

  1. 必ず2人以上で
  2. 足場の確認
  3. まわりに雪を残して
  4. 無理はしない
  5. 落雪注意
  6. 安全な装備
  7. はしごの固定
  8. こまめに手入れ
  9. エンジンを切ってから
  10. 携帯電話を忘れずに

著者プロフィール

一般財団法人 防災教育推進協会常務理事 笠間正弘

一般財団法人 防災教育推進協会常務理事 笠間正弘

1961年宮城県生まれ。子どもたちが自ら考え行動する真の“防災力”を育むため、「ジュニア防災検定」や「防災寺子屋」などの防災教育事業を行っている。著書『わたしたちの防災』