台風対策は進むけれど…
台風は、発生から日本列島に接近したり上陸するまでには、時間がかかります。
台風の発生や進路予測は気象情報でチェックできますし、最近は数値予報モデルや気象衛星の観測データの活用により予報の精度が向上しています。
この猶予時間と進路予想から、私たちは事前の対策や早目の避難行動をとることができます。
でも、安心してはいけません。
最近、台風をめぐって気になることが…。
日本近海で発生する台風
台風は通常、熱帯地方で発生します。
ですが、日本の近くで発生することがあります。
今年8月15日には、沖縄近海で台風18号が発生しています。
原因は日本付近の海水温の高さと考えられており、日本近海で熱帯低気圧が急速に発達して台風になった場合は、事前の準備に十分な時間がとれない可能性も。
今後も、日本近海の海水温の上昇傾向は続くと考えられています。
日本近海生まれの台風には要注意です。
強大化する台風
もうひとつ気がかりなのは、台風の強大化による高潮被害です。
アメリカの研究チームによると、1977年から37年間で、東アジアおよび東南アジアを襲った台風の強度は12~15%増大しているといいます。
台風の強度(中心気圧・最大風速)が上がると、強風、豪雨、洪水、高潮などの破壊力が増します。
大規模な高潮発生の懸念
今年3月、東京都は台風による高潮による浸水区域想定を公表しました。
浸水区域は23区の約34%に当たる、212平方キロメートルの範囲となります。
大阪市では、高潮によって最悪、市内の約38%に当たる84.5平方キロメートルが浸水という被害想定となっています。
浸水範囲が広範囲となると予想される地域では、地方自治体を超えて住民を誘導する「広域避難」が大きな課題となっています。
内閣府と東京都は、2019年度中に基本方針を取りまとめるとしています。
誰もができるだけ避難先を自主的に決めておき、早めの避難行動がとれるようにしたいものです。
初出:2018年9月8日配信メールマガジン
著:笠間 正弘/(一財)防災教育推進協会