壁の内側・床下の対策も重要

2018年8月9日

平成30年7月豪雨は各地に大きな被害を及ぼしました。素早い判断と避難が大切さだということが改めて教訓となりました。自然災害は、わたしたちの想定をはるかに超えて襲ってきます。ひとりひとりが普段から防災を意識し、対策することが重要です。
今回は、すぐに実践できる水害対策や浸水してしまった場合の対処法などを解説します。

排水口からの浸水に注意

台風や大雨による水害対策として、家の出入り口に「土のう」を積んで浸水を防ぐ方法があります。水深の浅い初期段階や、小規模な水害には効果があります。
ですが浸水は、思わぬところからも発生します!トイレ、浴室、洗濯機などの排水口から汚水が逆流することがあります。

これらの浸水対策としては、家の外の側溝や排水溝にゴミなどがたまらないよう掃除します。また「水のう」でトイレ便器の中、浴室・洗濯機の排水口を塞ぐようにして逆流を防ぎます。

後片づけの注意点

浸水した場合、家の後片付けはやっかいです。浸水してきた水は、下水からの汚水などが含まれているので衛生面に気をつけなければなりません。泥水を早く洗い流さないと、衛生上の問題だけでなく、臭いの原因になり、湿気によりカビが発生します。

後片づけは、泥水・雑菌・臭い・カビとの戦いです。作業時は衛生面を考え、長袖、長ズボン、マスク、ゴム手袋、長靴を着用し体を守ります。消毒剤を使用する場合は、ゴーグルを着用しましょう。

壁の内側・床下も対処を

片づけは濡れた家具などを外に運び出して、その後、室内を洗浄・消毒・乾燥というプロセスで進めます。問題は、壁の内側と床下です。どちらも見えない部分ですが、放置すると、カビが発生するばかりでなく、
木材が腐食し耐震性に問題を招くなど家に大きなダメージを与えることになります。

とくに、壁の内側は見落とされがちです。床上浸水の場合は、濡れた石膏ボードや断熱材を取り除く工事が必要になるケースも出てきます。壁の内側も洗浄・消毒・乾燥させることが大切です。

コンセントにもゴミ付着!

濡れた箇所を乾燥するときは、扇風機を使って強制的に乾燥させます。

ですが扇風機を使う前に、コンセントに注意しましょう。床上浸水の場合は、コンセントにも土砂やゴミが入り込んでおり、そのまま使うとショートしてしまう可能性があります。
まずは電気屋さんにチェックしてもらうことをおすすめします。

著者プロフィール

一般財団法人 防災教育推進協会常務理事 笠間正弘

一般財団法人 防災教育推進協会常務理事 笠間正弘

1961年宮城県生まれ。子どもたちが自ら考え行動する真の“防災力”を育むため、「ジュニア防災検定」や「防災寺子屋」などの防災教育事業を行っている。著書『わたしたちの防災』