2018年8月9日
常識を覆した熊本地震
地震活動の典型的なパターンは、大きな地震が発生後、その場所の周辺でそれより小さい地震が多数発生する「本震-余震型」と呼ばれるものです。
ですが、平成28年(2016年)の熊本地震では、4月14日に大きな地震(M6.5)が起き、2日後の4月16日にはさらに大きな地震(M7.3)が発生しました。
「大きな地震の後は、より大きな地震はこない」と考えられていた、地震活動の“常識”が覆されることとなりました。
油断大敵
熊本地震では、最初の地震で無事だった家が、2回目の地震で倒壊。家に戻っていた住民が下敷きになるという被害も出ました。
これまでの「余震に注意」という呼びかけでは、より強い地震は来ないと誤解を生んでしまうことから、気象庁は「地震に注意するよう」へと呼びかけを変更しています。
大きな地震が起きたあとも油断大敵です。
新耐震基準は絶対ではない
熊本地震では、「新耐震基準」で建てられた家も被害に遭いました。
新耐震基準とは、「人命を守るために1度の大地震で建物の倒壊を防ぐ、最低限の耐震性能」です。
「強い地震が複数回発生した場合でも安全な建物である」という基準ではないことを、しっかり認識しましょう。
テントの活用も考えよう!
熊本では2度の本震後も揺れが続いたことで、建物の倒壊などを恐れて避難所に入らずに車中泊をする避難者も数多くいました。
車中泊は、エコノミークラス症候群など健康被害を招く恐れがあります。
地震が続く場合に備えて、「テントで生活」するという選択肢も考えておきましょう。
実際、熊本県の益城町に作られたテント村では、最大時に156世帯、571人(5月11日)がテント生活を送りました。
アウトドアでの経験や用品は、災害時に大変役立ちます。
初出:2018年5月12日配信メールマガジン
著:笠間 正弘/(一財)防災教育推進協会