小児科医との上手なつきあい方

2018年3月22日

子どもの病気は大人と少し違い、 慢性の病気よりも急性の感染症などが多く見られます。いざという時にあわてないようにするためにも、小児科医との上手なつきあい方について、私見を交えてお話します。

かりつけ医を持とう

子どもの病気は大人と少し違います。
慢性の病気よりも急性の感染症などが多く、よく風邪をひきます。しかしその多くは子ども本来の治す力でほぼ治ります。おなかの中で母親からもらった抗体は半年でなくなってしまい、その後は風邪などをひきながら体が病気を覚えていきます。細胞がその感染症を覚え、自前の抗体を作り、次に同じものが来た時には大丈夫なように体を作っていきます。

ただ、敵となる感染症は数が多く、体がある程度の感染症を覚えて準備を整えるには、4~5歳くらいまでかかります。たいていの病気は自然軽快することが多いですが、中には治療をしないと治らないものもありますから、注意が必要です。
また、風邪のような症状でも悪い病気がまれに隠れています。そのようなときは私ども医師のお手伝いが必要だと考えます。

小児科医との上手な付き合い方は、かかりつけ医を決めることだと思います。
普段の様子がわかると、これはよくないという疾患が隠れている場合、いつもと違うということで気づくこともあります。
また、こういう症状が出てくると、この後悪くなるから早めに治療しましょうということもあります。

例えば、反復性耳下腺炎という病気があります。おたふくかぜと同じように耳下腺が腫れ、見分けは難しいです。
ムンプスというウイルスによる流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)では5日間の出席停止になりますが、反復性耳下腺炎では様子がよければ登園・登校ができます。初めて受診する病院では、おたふくかぜかもしれないので、「5日間の出席停止です」と言われますが、かかりつけだと「前と同じ反復性だから、登校してもいいよ」と言われます。

また、喘息などの慢性的な病気は、特にかかりつけ医との関係が大切です。
薬の継続的な内服が必要であることが多く、切らさない方がよい薬もある一方、経過によって逆に切っていく薬もあります。
初めて受診する病院で「喘息です。お薬を長期間出してください」「もう服薬をやめてもいいですか」と言われても、経過の詳細がわからないと判断に困ります。継続的な受診でお子さまにあったより良い治療ができるのです。

かかりつけ医の選び方

かかりつけ医を見つけるきっかけとしては、最初に病院にかかる乳児健診や予防接種があります。
1カ月健診は、出生した病院で受けることが多いですが、3・4カ月健診からは近隣の内科や小児科で受けます。また、予防接種もインフルエンザ菌・肺炎球菌・ロタウイルス・B型肝炎などは2カ月からできますので、受診した時に病院の雰囲気や、どんな先生か、スタッフはどうかなど、見られるとよいと思います。

病気の時はお子さんも機嫌が悪く不安がりますので、病院の待合がリラックスできるような雰囲気かも見ておくとよいでしょう。
また、大きな病院などと連携ができているかも参考にしてみてください。

受診のコツをつかんで医師と良好な関係を築こう

かかりつけ医が決まったら、受診にもちょっとしたコツがあります。
受診時に子どもの症状や経過などをしっかり伝えられるよう準備して受診してください。
熱がいつからか、咳は夜が多いか、湿った咳か乾いた咳かなど状況がわかると医師としては助かりますし、お子さんの病気の診断に役立ち、的確な治療につながります。

症状に関しても、一度診た所見で判断できず、経過をみさせてもらい、時間経過による症状の変化で診断できることもあるので、再診の指示があったときは必ず受診しましょう。

いざという時に役に立つお薬手帳や母子手帳

受診の際、 同時にかかられている耳鼻科や皮膚科でもらっている薬があれば、その内容がわかるお薬手帳や予防接種歴等がわかる母子手帳があると参考になります。

例えば、風邪で耳鼻科にかかりお薬が出ているとします。効いていないようなら変更しますし、効いていれば追加継続もしくは足りないものだけを処方ということも効率よくできます。
この薬を飲んでいて効かない場合は、別の病気を考えることもあるので参考になります。予防接種歴があれば、接種したものは診断するうえでその可能性が低くなるので参考になります。

出先などで急に受診する場合や普段と違う病院にかかる時も、お薬手帳を持って行かれると良いです。ちょっとしたお子さんのカルテの様なもので、見る側としてはとても参考になります。

また、発達や成長の相談に行く時は、母子手帳が良いカルテになります。乳幼児の時期は必ず持参しましょう。

受診のコツというよりは、小児科医のお願いのようになってしまいましたが、これが上手なかかり方につながり、お子さまにもメリットとなると思います。ですから、この先生ならと印象がよければそれが一番と考えます。

 

mini column 小児救急は激務

お子さまが夜間に発熱をして、救急で診てもらった経験のある方がいらっしゃると思います。
お子さまの発熱などは急に始まることが多く「この子はどうなってしまうのだろう」 と心配されての受診だと思います。夜間に受診され、「大丈夫ですよ」という言葉で安心された方は多いと思います。

小児救急は小児科医・内科医の使命感と体力で担われています。午前午後の診療を終えてその後に当直や、夜間救急に当たります。夜間、睡眠もとれず対応することもあります。翌日休めるのかというとそんなことはなく終日診察をし、夜にやっと休めるというのが現状です。
小児はよくなるのも早いですが、急に悪くなることもあるので、救急で対応しています。悪い病気や状態を見落とさないための外来です。

かかりつけ医がいましたら、急な発熱時の対応や「こういう時は受診が必要」 などのアドバイスをもらっておくと、いざというときあわてないですみます。ぜひ聞いておきましょう。

指導:キッズクリニック川口前川 院長 新実 了先生