――育児休業を取得しようと思ったきっかけはどんなことですか
もともと長男が生まれたときから育児休業の制度には興味がありました。我が子の日々成長していく姿を間近で見たいという思いがあったからです。しかし、職場や友人などまわりで育児休業を取得している人がおらず、どうしようかと迷っているうちにタイミングを失い、結局取得することはできませんでした。
しばらくして、同じ市内で働く男性教員の方で、育児休業を取得しているという話を耳にすることがありました。その時に、第二子を授かったら今度こそ育児休業を取得しようという思いを強く持ちました。
――休業中の収入に関して不安はありましたか。また、それに対してはどのようにクリアしましたか
休業中の収入に関して不安はありました。
そこで事務職員の方に相談して、育児休業手当金のことを教えて頂きました。
子どもが1歳になるまでは手当が出ること、取得して半年は給与の67%(注1)が手当として出ること、また、夫婦で育休を取得した場合は、後から取得した親は子どもが1歳2ヶ月まで手当てが支給されること(注2)などを詳しく教えて頂けたので、生活していけそうだと見通しがつき、安心しました。
――同僚、上司の反応はいかがでしたか
同僚は皆賛成してくれました。
上司にも第二子が生まれたのですが、その後しばらくしてから来年度育児休業を取得したい旨を申し出ました。最初は驚いていましたが、思いを真剣に伝えると、快く了承して頂きました。
――休暇中の生活スケジュールはどのようなものですか
基本的な1日の流れは、食事の用意、長男の保育所の送り迎え、掃除、買い物、子どもと遊ぶ、お風呂に入れる、寝かしつける、というものです。
仕事をしながらの子育ての場合、平日はなかなか子どもと目一杯遊ぶということはできませんでしたが、育休中は長男とも長女ともたくさんの時間を過ごすことができました。
また、住んでいる地域で定期的に開催される離乳食講習会などにも参加しました。予防接種や定期検診もあったので、忘れないようにカレンダーに印をつけていました。
さらにこの1年は時間に余裕があったので、4月に保育所の役員にも立候補し、保育所の先生方や他の役員さんとも交流する機会を持つことができました。その中で、子育ての悩みや喜びを共有することもでき、役員をしてよかったと感じました。
――特に大変だったこと、うれしかったことを教えてください
子どもが夜中に何度も起きて泣いたりすると寝不足になって朝が大変でした。
しかし、初めての寝返りや、はいはい、つかまり立ちなどの瞬間に立ち会えた時は嬉しかったです。また、作った離乳食を美味しそうにぱくぱくと食べてくれる姿を見ると、作ってよかったと思いました。
――職場復帰後の気持ちや、育休を取得する前と後で変わったことがあれば教えてください
1年間我が子としっかり向き合えた分、仕事に対してより前向きな気持ちで復帰することができました。
毎日長男を保育所に迎えに行くと、担任の先生がその日にあった行事や友達ともめたこと、できるようになったことなど、細かく話してくれました。子を持つ親にとって、しっかりと情報を伝えてくれることは安心につながるということを実感した1年でした。
小学生も高学年になるにつれて学校のことは家庭であまり話さなくなることも多いと思うので、学校での様子等を保護者の方にしっかりと伝えていきたいと思うようになりました。
――これから子どもを持つ男性教職員の方へメッセージをお願いします
世界の先進国の中には男性の育児休業取得はごく当たり前のことだという国もたくさんあります。しかし、日本には制度はあるものの、まだまだ男性の育児休業の取得率は高いとは言えません。
本来なら誰でもこの制度を利用して子育てに専念する機会を持つことが望ましいとは思いますが、一般企業に勤める友人の話を聞いていると私と同じように取得することは厳しいのも現実にはあるのだと思います。
だからこそ、まずは子どもと接する仕事をしている私たちが率先して取得していくことが必要なのではないでしょうか。
子どもはあっという間に成長していきます。大変なことももちろんありますが、是非、その成長していく様子を間近で見守ることができる喜びを感じてほしいと思います。
- 181 日目からは 50%になります。
- 父母がともに育児休業を取得した場合、育児休業期間の延長制度(パパ・ママ育休プラス)により、育児休業手当金の給付期間も延長されます。
- 「パパ・ママ育休プラス」とは別に、特別な事情(申し込んでいたのに保育所に入れなかった等)がある場合、子どもが1歳6カ月になるまで育児休業手当金支給期間の延長が可能です。また、2017年10月からは、さらに育休の継続がやむを得ない場合には、子どもが2歳になるまで支給期間の再延長が可能になりました。