「宝物ファイル」で自分を振り返る!

2014年9月10日

今回は、「宝物ファイル」を使って自分を振り返る方法と効果について、お伝えします。

見たいときにいつでも見よう!

宝物ファイルは、宝物を色々入れていくだけでも効果がありますが、それを有効に活用するとその効果は倍増します。

口から出た言葉はその時その時で消えてしまいます。でも、ファイルに入れておけば無くなることはありません。
中身を見たい時はいつでも見ることができるという利点を最大限に生かして、子どもたちと一緒に楽しんでくださいね。

宝物ファイルで自分を振り返る その1

宝物ファイルを実施するうえで、必ず行なうことのひとつが『もう一度、自分のいいところ(長所)を書く』こと。
繰り返しとなるこの活動は、一度自分のいいところを書いた後、しばらくしてから行います。

しばらくというのはどの位の間隔なのか、クラスの実態にもよります。3ヶ月後でも8ヶ月後でも構いません。
重要なのは、いつするかということよりも、中身が増えてきて、友達、教師、家族からの言葉など、見返すものが入っている状態で行うということです。

上の写真は、1学期にひとつしかかけなかった子のものです。
「1こしかかけなかったのでざんねんでした。」という感想でしたが、12月に書いたときは6個書けています。
感想も「前よりもいっぱい書けた。前より6こ多く書けた。いっぱい自分のいいところが見つけられた。」となりました。

3枚目の写真の児童は「1学期よりも増えたのでうれしい。」という感想を書いています。同じような感想を書いた子が大勢いました。

また、4枚目の写真のように、「ぼくが知らなかったことをみんなが見つけてくれてうれしかったです。」という感想も見られました。自分が気づかなかったことを友達から教えてもらったことがとても心に残ったのだと思います。
ちなみに、これまでに、この2回目にいいところを見つける活動では、100%の児童が1回目よりも増えています。

宝物ファイルで自分を振り返る その2

3学期の終わりの3月頃に、実施していることがあります。
それは、宝物ファイルを見ながら自分の成長したことを考えるという活動です。

成長という言葉が難しい1~3年生では、「成長というのはね、今までできなかったことができるようになったことを書くといいよ。」と説明をしてから始めます。
1年生の場合には、「どんなことがあるかな?」と子どもたちに聞いて、出てきた事柄を板書します。そして、「この中で自分と同じだなと思うものがあったら書きましょう。その他にも見つけたことはどんどん書きましょう。」というように伝えてから書き始めています。

下記は子どもたちが書いた内容の一部です。

・とびばこが6だんとべるようになった。
・友だちと仲よくできるようになった。
・あまり泣かなくなった。
・算数の計算が得意になった。
・マラソン大会では、最後まで休まずに走ることができた。
・自分のいいところがたくさん見つけられるようになった。
・漢字をたくさんおぼえた。

宝物ファイルを使うことで、子どもたちが自分自身ではっきりと成長を自覚することができるのです。
だからこそ、どの学年の児童、生徒に対しても宝物ファイルをおすすめしています。

今年の夏も全国の先生方に呼ばれて講演会やワークショップを行いました。それとともに、これまでに私の講演を聞いて、宝物ファイルの実践を始めた先生方からうれしい報告が続々と届いています。

機会があれば詳しくお伝えしたいと思いますが、「ちょっとしたことですぐキレる。乱暴をはたらく。友だちにハサミを向けたこともあった子が、びっくりするほど素直になり、友だちとも仲良く遊べるようになりました。岩堀先生には申し訳ありませんが、これほど効果があるとは思っていませんでしたので、正直いってびっくりしています。」などという声もあります。

こんな先生方の声に励まされながら、2学期もまた一生懸命がんばります!!

著者プロフィール

一般社団法人子どもの笑顔 代表理事 岩堀美雪

一般社団法人子どもの笑顔 代表理事 岩堀美雪

福井県在住。元小学校教師(教師歴31年)。
子どもたちの「自己肯定感」を育むために、2000年から独自の「宝物ファイルプログラム」を実践。「NHK「クローズアップ現代+」や国連との共同制作番組等、マスコミ出演多数。全国の教育委員会、PTA、企業から講演・講座の依頼が相次いでいる。現在は福井大学子どものこころの研究発達センター特別研究員として研究に励む。
「自分を認め、お互いを認め合う世の中を実現したい」と本気で考える熱血元小学校教師。