「宝物ファイル」基本編 その1

2014年4月9日

ついに宝物ファイルをはじめる子どもたち。でも、みんな慣れていません。どうやって進めていくのか、子どもたちがワクワクしながら作っていくためのテクニックを紹介します。

まず最初にすることは?

さあ、いよいよ宝物ファイル作りを始めましょう。
まず最初に何をするかですが、作文や物語などを書くときは、初めにタイトルを書くことが多いですね。宝物ファイルもページの順番からいえば名前をつけたくなるのですが、名前をつけて表紙を作るのは少し後の方がうまくいきます。
なぜかというと、中身が入った後の方が「はは~ん、宝物ファイルってこんなものか。」と子どもたちがイメージしやすくなるからです。(表紙の作り方については、また次回で!)

ということで、最初は、A4コピー用紙に目的を書くところから始めます。

宝物ファイルの目的を書こう!

まず最初の紙に書く目的は2つです。

  • 自分のことを大好きになろう
  • 家族や友達のことも大好きになろう

おおっといけない、この言葉を書く前に、用紙の上の方に日付を書きます。いつ書いたのかをすぐに思い出せるようにするためです。
文字は鉛筆でもマジックでも構いません。大きな字で書きます。
「先生、空いてる所にイラスト描いてもいいですか?」と子どもたちが聞いてきたらしめたものです。少しでも興味をもっている証拠ですから。にっこり笑って「いいよ~。好きなだけ描いてもいいよ~。」と言います。

 

2番目は、用意した写真を貼ってその下に夢や願い事を書きます。

中には、「えーっ、書いたって叶わないよ。」などと言う子もいるかもしれません。そんなときは、「そうだよねぇ、書くと叶うなんて信じられないよねぇ。でもね、オリンピックの水泳で金メダルを取った北島選手やメジャーリーガーになったイチロー選手は小学校の時に書いているよ。」と言うと、子どもたちの目の色が変わります。

1枚で足りない子は2枚目3枚目と書かせてあげましょう。教え子が夢を叶えると想像しただけでワクワクしますよね。

そうして書いた2枚の紙は、見開きになるようにファイルの中に入れます。

自分の長所を見つけよう!

最初の準備が完了したら、次から宝物を入れたり、自分の長所を考えて書いたりします。

まずは、長所を書くときのポイントから。
「自分のいいところについて書きましょう。」と言うと、必ず、「えーっ、そんなの1個もありません。」と言ったり、不安な顔になったりする子がいます。
そんなときは、「みんなには必ずいいところがあります。でも、まだ気がついてない人もいるのです。だから、今見つからなくても心配しなくてもいいですよ。」と言ってあげてください。その一言で子どもたちがほっとした顔になります。

それでも見つけにくい場合は次のような方法があります。

見つからない場合は、子どもたちがどんなことを書いていいのかわかっていないことがあります。
それで、「例えばどんなことがあると思いますか?」と聞いて、出てきた答えを黒板に書きましょう。そして、「自分もそうだなと思う場合は、これを参考にして書けばいいですよ。」と伝えましょう。
また、6~8ヶ月後にもう一度考えてみるのもいいでしょう。

子どもたちの書いた、自分の長所。ピンクの付箋は、授業を終えての感想です。
(「もう少し多かったほうがよかった」、「はじめは書けないと思ったけど、しゅんすけ君が得意なことでもいいんですかと言ってくれたから 白い紙に得意なことも書けました」)
授業では、たとえ長所が見つからなくても心配しなくてよいこと。「こんなことぐらい」といわず、ちょっとしたことでも見つけていくとよいことを伝えましょう。

この原稿を書いているのは、もうすぐ3学期も終わりという時期。
学期の終わりの1週間くらいは「毎日席替え」をします。普段は、女子と男子が交互に並ぶような座席なのですが、このときばかりは、男女混ぜ混ぜのくじ引きです。
子どもたちはこの席替えを楽しみにしています。でも、ひとつだけ約束があります「誰が隣になっても嫌な顔をしないこと。」です。
時間は、大抵6時間目が終わった後です。先日、「さあ、毎日席替えしよう!」と言ってくじ引きして席替えが終わり、私が、「さ、次は帰りの会しよう。」と言ったら、「先生、まだ5時間目が終わったとこですよ。」と子どもたち。なんと、5時間目と6時間目を勘違いしてました~。ぎゃあ…。
でも、いいんです。私みたいにそそっかしい人間が担任だと子どもたちは日に日にしっかりしてきます。そして、「先生、黒板の字1文字抜けてますよ。」なんて教えてくれるのです。
3年2組のみんな、いつも助けてくれてありがとう!

著者プロフィール

一般社団法人子どもの笑顔 代表理事 岩堀美雪

一般社団法人子どもの笑顔 代表理事 岩堀美雪

福井県在住。元小学校教師(教師歴31年)。
子どもたちの「自己肯定感」を育むために、2000年から独自の「宝物ファイルプログラム」を実践。「NHK「クローズアップ現代+」や国連との共同制作番組等、マスコミ出演多数。全国の教育委員会、PTA、企業から講演・講座の依頼が相次いでいる。現在は福井大学子どものこころの研究発達センター特別研究員として研究に励む。
「自分を認め、お互いを認め合う世の中を実現したい」と本気で考える熱血元小学校教師。