小学校から中学校へ繋がる英語授業とは・後編

2013年12月20日

小学校から中学校へのスムーズな英語教育の導入のために、小学校でできる英語教育方法とは? 中学校で気をつけるべきポイントは?
後編は、小学校から続く中学校の英語教育方法についてです。

【小学校から中学校へ繋がる英語授業とは・前編】

小学校から中学校へのソフトランディングの重要性

中学1年次の英語教育

中学校1年次の入門期は、「聞く」「話す」活動に「読む」「書く」が加わることにより、生徒たちの半数以上が英語授業に対して「楽しみ」な気持ちよりも「不安」を感じているというアンケート結果がある。
そこでこの時期は、小学校の英語活動からのソフトランディングが重要であるとし、「中学校英語は楽しい」という意識をもたせるよう考慮した。

「聞く」「話す」を中心とした小学校の活動から、4技能すべてを伸ばす中学校英語への移行期には、「知りたい」「伝えたい」という気持ちを高めるような場面設定の工夫をし(例:授業開始時のペアによる英会話活動)、英語で人とかかわることを楽しむ姿勢を育むことが重要である。
そのため、小学校で慣れ親しんだ身近な英語表現を多く用いて言語活動に取りいれ、「聞く」「話す」を中心にした授業を展開した。

自分が話した英語を「書く」という時間を授業のなかに取り入れ、文法を正確に使うというプレッシャーを与えずに「書く」練習を重ねることで、小学校から中学校へのソフトランディングを達成している。
そして、ある程度英語の知識がついてきたころからは、新出文型の導入の場面で、ビデオや絵、ALTとJTEの会話を見たり聞いたりすることで、何を言っているのか考え、推測する力をつけるようにした。
また、既習事項の意味ある繰り返しによって基礎的な事柄の定着を目指した。

中学2年次の英語教育

生徒が安心して英語で話せる環境づくりに努め、1年生から続けている授業開始時のペアによる英会話活動を継続し、関心をもって聴く「聞き手」の育成に力を入れた。
また、生徒の「伝えたい」気持ちを引き出すための場面設定の工夫を重ね、東日本大震災にあっても秩序正しい人びとのことについて、ALTや友だちに積極的に伝え合おうとした活動もあった。
そこでこのテーマについて真剣に考え、伝えたいという思いをさらに強く持てるように道徳の時間でも考えを深めるようにした。

中学3年次の英語教育

高校受験への意識が強まり、英語も「言葉」というよりも受験教科の一つととらえられがちになってしまうが、英語が「生きた言語」であることを感じられる授業づくりをしている。
生徒が世界や日本の出来事に関心を持ち、それについて自分の考えや思いを6文節以上の英語で話したり書いたりできる生徒像を目標に置いた。

英語は人と関わるための言語

原点にもどって人と関わるための言語としての英語を再認識しながら、自分の将来と関連づけ、一人ひとりが世界につながっていること、さらに英語によってそれを広げられることに気づいてほしいという願いを込めた3年間で、生徒は多くを学んでくれた。

1年次「楽しむ姿勢」、2年次「喜びや達成感からの英語学習への意欲」、3年次「自分と世界のつながりの気づき」を育てることが、英語によるコミュニケーション能力の育成につながると考える。
これを実践した結果、毎年約90%の生徒が英語に対して「楽しい」と感じ、毎年約85%の生徒が英語を「好き」と感じ、約75%の生徒が英語を将来に役立てたいと考えることができている。