【保護者編・4】家庭でのルール作りは、話し合いが大切

2015年11月11日

普段から携帯やスマホの利用ルールを決めておくことで、使いすぎを防止するだけでなく、ネットに対する安全意識を高めることができます。
しかし、単に子どもの行動を縛るばかりでは、本人も納得せず、結局ルールは守られません。生活に支障がない使い方を、親子で話し合うことが大切です。
保護者編の最終回は、家庭でルールを作る上でのポイントや、スムーズに話し合いをするためのヒントをご説明したいと思います。

ネット利用のルールを決める

私たちJIMAでは、家庭でのルール作りのお手伝いをするために、穴埋め式のルール表をお配りしています。

このルール表には、例えば「使う時間は●時までにする」といった形で、具体的な条件を記入する箇所があります。
穴埋め式になっているのは、ご家庭の生活や、お子さまの年齢にあった内容にしていただくためです。

子どもと話し合いながら記入することで、ネットの危険に対する理解を深め、お互いに納得できるルールを作っていただければ幸いです。

最初のステップは「利用時間」を決めること

保護者として真っ先に心配なのは「ネットの使いすぎ」でしょう。地方自治体によっては、夜9時以降は携帯電話やスマートフォンの利用禁止、といったガイドラインを保護者に出しているところもあるようです。

具体的に適切な利用時間は家庭によって異なりますので、生活スタイルに合わせて子どもと話し合って下さい。
例えば、塾の帰りが夜9時以降なら、帰りの連絡のために10時までは必要、といった都合があるはずです。

時間を決めることで、友達とLINEチャットが続いていても「時間がきたから」といって抜けられる、という効果もあります。
習慣化すればお互いにそれが当たり前になって、トラブルの芽を摘むことができるのです。

一度投稿したものは、不特定多数に見られるという意識が必要

見知らぬ相手に個人情報を与えると、犯罪に巻き込まれる危険が高まります。
また、写真は本人が考える以上にさまざまな情報を相手に与えますので、安易に自分の写真を投稿しないようにすることも大切です。

このような話を子どもにすると、「LINEは友達しか見られないから」という答えが返ってくるかもしれません。
これは仕組み的にはその通りなのですが、実は必ずしも正しくないのです。

なぜなら、その投稿を見た友達が、全く別の場所で「〇〇ちゃんがこんな投稿してたよ~」と転載する可能性があるからです。
これも本当は良くないことなのですが、おしゃべりの軽い気持ちで広げてしまうことは、充分に考えられます。

ですから、ひとたびネットに投稿したら、それは場所に関係なく大勢の人に見られる、という意識を持つことが大切です。
個人情報はもちろん、人を傷つけるような発言や、いたずらをしている写真などもってのほか、ということをしっかり注意してください。

困ったときは大人に相談すること

また、いざという時のために「困った時にどうするか」を必ず話し合ってください。
例えば、興味本位でアダルトサイトを見たら、「利用料として5万円払ってください。いますぐ個人情報を返信しないと、延滞料で10万円になります」と表示された…。

このような架空請求は、大人でも多数が被害に遭っています。
子どもならなおさら、どうしていいか分からず、大人にも相談できずに個人情報を渡してしまうかもしれません。そうなったら、さらに要求がエスカレートするのは確実です。

このようなときに、隠さずに身近な大人に相談すること。
ルール表には、具体的に誰に相談するかの欄がありますので、ぜひ話し合って記入してください。

逆に「御法度」として欲しいのは、ネットの掲示版などで相談することです。
もちろんネット上にも親切な方はいますが、混乱している当人には何が正しいかとても判断できません。なかには、わざとウソのアドバイスをする人がいるかもしれません。
(相談を受けた大人も対処がわからないときは、ネットトラブル相談窓口などを活用してください) ですから、困ったときは信頼できる大人に相談すること。
「どんなことがあっても、私たちはあなたを守るんだから」という気持ちを込めて、約束してください。

このように、子どもと正面から向かい合って話し合うことが、信頼関係を築き、結果としてネットのトラブルを防ぐのです。

ネット時代にふさわしい振る舞いを身につけるために

保護者編では、トラブルの予防を中心に据えてご説明させていただきました。

これからの社会では、ネットを使いこなすことは必須です。
子どものうちから「何が良くて何が悪いのか」をしっかり学び、上手にネットと付き合う感覚を身につけたいものです。
この連載が、お子さまの将来のお役に立てることを願っております。

著者プロフィール

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

千葉大学工学部卒。輸入業、出版を経て株式会社ウォンツへ。輸入ビジネスでいちはやくインターネットに触れる機会を得て、技術者としてITやネットに関わるようになる。その後、ITマニュアル翻訳、パソコン映像教材制作、書籍の執筆に携わるほか、プログラマとしてeラーニングやアプリの開発を行い、IT教育の最前線で多数の実績を残す。
近年、子どもとネットの関わりが社会問題化したことを受け、子どもたちへの情報モラル啓発活動を志して「一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)」を設立。子どもたちが、ネットやIT機器を、正しく安全に使いこなすための講演活動を行っている。

一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)
Facebookページ:https://www.facebook.com/jima.info

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