【児童生徒編・4】ネットの中に、自分の最高の人生を残していこう

2016年3月9日

連載の最終回は、ネット時代を生きる子どもたちが、これから素晴らしい人生を送るためにどうしたらいいのかというヒントとエールをお届けしたいと思います。
ネットの中には、自分の人生がありのままに残っていきます。それを楽しくて充実したものにすれば、自然とチャンスが広がっていくはず。
「ネットがあってよかった」誰もがそう思い、幸せな人生を送れたら、こんなに素晴らしいことはありません。

子どもたちに伝えたいこと

これまでの連載では、ネットを利用するうえで注意すべき点を中心にお話してきました。
しかし、これはあくまでネットの一面です。
きちんと使いこなせば、そこにはたくさんのチャンスや、人生を幸せにしてくれるヒントがあります。

そこで『知っておきたい生徒・児童のネットマナー』最終回となる今回は、やや趣を変え、ネット時代を生きる子どもたちへ、ヒントとエールを中心にお届けしたいと思います。
ネットが子どもたちの未来を明るく照らす、その素晴らしい未来への橋渡しとなることを願っております。

ネットで夢を叶えた、たくさんの若者たち

人の集まるところには、チャンスがあります。
希望を抱いて都会に進出する若者が多いのも、それが理由でしょう。
では、ネットのように「世界中の人が集まっている」場所には、どれだけのチャンスがあるのでしょう? 考えるだけでワクワクしませんか。

実際に、学生にしてネットでチャンスを掴んだ人はたくさんいます。
ある女子中学生は、スマホアプリ開発のコンテストで優秀な結果を残し、その後、なんと中学生のまま会社を設立しました。(株式会社AMF http://amf.tokyo.jp/

ある男子中学生(作曲家:黒魔)は、動画サイトに音楽を投稿し続けました。
全く音楽の経験がなく、最初はめちゃくちゃなものでしたが、6年後、彼はゲームに楽曲を提供するほどまでに成長しました。その地道な努力と成長は、多くの人に賞賛されました。

ある女子高校生は、黒板アート (黒板にチョークで絵を描く) をネットに投稿して話題になりました。
それが出版社の目にとまって、大物作家の小説の表紙を描くことになったのです(宮部みゆき著『過ぎ去りし王国の城』)。チョークと黒板消しだけで描いているとは思えない、ため息が出るような素晴らしい作品です。

こんなふうに、自分の得意なこと、良いところを人に認めてもらえる。
そんなチャンスが広がっているのが、ネットの世界なのです。

チャンスがあるからこそ、責任もある

誰でもチャンスを掴めるということは、つまり、ネットの世界が「大人も子どもも平等」であることを意味しています。
顔が見えないからこそ、誰であっても平等に評価されるのです。

ただしこれは、「誰もが平等に責任を負う」 ことの裏返しです。
子どもであっても、許されないことをすれば責められます。誰かを傷つけるようなことをすれば、それは必ず自分に返ってきます。そのことを忘れないで欲しいと思います。

だからこそ、いざトラブルに巻き込まれたときは、家族や先生のような「身近な大人」を頼るべきなのです。
本当の意味で自分を守ってくれるのは、ネットの中の誰かではなく、自分と一緒に毎日を生きて、それを大切に思ってくれる大人なのですから。

ネットで人生を幸せにするために

ネットの一番の特徴は「残る」ということです。
一度投稿した言葉や写真・動画は、何らかの形でネットに残り続けます。しかしこれは、必ずしも悪いことばかりではありません。逆に言えば、自分の素晴らしいところもずっと残せる、ということです。

夢中になって頑張っていること、好きなこと、友だちと仲が良いこと、家族と一緒の思い出、ときには悔しいと思ったこと・・・その全てが「良いところ」です。

ネットには、ウソのない、自分の人生が残っていきます。
それを見て、他の人はあなたの「良いところ」を知ることができます。そうして応援してくれる人が増えれば増えるほど、人生が楽しくなって、夢も叶えやすくなるのです。

確かにネットには、使い方を誤れば人生を傷つける危険もあります。
しかしそれ以上に、自分の人生を幸せにしてくれる可能性に溢れているのです。
どうか「ネットがあってよかった」と思えるような、そんな人生を皆さんが送ってくれることを願っています。

子どものころの経験は、かけがえのないもの

子どもがゲーム好きなのは、今も昔も変わりません。実は、私も夢中になった一人です。
30年も前の話になりますが、10歳のころ、ゲーム機の代名詞ともなった「ファミコン」が登場し、大変なブームになったのです。

自分の興味は、いつしかゲームからゲームの仕組みに移っていきました。
「どうしたら、こんな楽しいものができるのだろう・・・」そして、できるなら自分でも作ってみたいと思ったのです。

自分の場合、直接ゲーム制作を仕事にすることはありませんでしたが、当時独学で学んだことは、その後の人生に大いに活かされています。
「ゲームやパソコン、ネットがあってよかった」と、胸を張って言うことができます。

なかでも、こうしてネットのことを教えられるのが、特に「よかった」ことです。
みなさんにも、いつか同じように「よかった」と思って欲しい。それがこの活動の原点です。

著者プロフィール

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

千葉大学工学部卒。輸入業、出版を経て株式会社ウォンツへ。輸入ビジネスでいちはやくインターネットに触れる機会を得て、技術者としてITやネットに関わるようになる。その後、ITマニュアル翻訳、パソコン映像教材制作、書籍の執筆に携わるほか、プログラマとしてeラーニングやアプリの開発を行い、IT教育の最前線で多数の実績を残す。
近年、子どもとネットの関わりが社会問題化したことを受け、子どもたちへの情報モラル啓発活動を志して「一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)」を設立。子どもたちが、ネットやIT機器を、正しく安全に使いこなすための講演活動を行っている。

一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)
Facebookページ:https://www.facebook.com/jima.info

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