【児童生徒編・2】写真一枚で個人が特定できる! ネットの投稿は慎重に

2016年1月6日

一度ネットに投稿したものは、ずっと残り続けます。その内容によっては、個人情報の漏洩、炎上事件、犯罪被害など、一生に関わるような大事件に発展する可能性もあります。
とくに写真は、簡単に撮れるにも関わらず多くの情報を含んでいるため、注意が必要です。不用意な投稿を防ぐため、子どもたちにどのようにその危険を伝えるべきか、その点を中心に解説します。

写真の投稿は、危険がいっぱい

カメラ付き携帯電話の登場によって、写真は旅行のお供から「日常の一部」になりました。
携帯・スマホが当たり前の世代にとって、写真を撮るということはとても気軽で当たり前のことです。

しかし、その写真がネットにアップロードされると、途端にトラブルの種となります。
写真は「証拠」としても機能しますから、個人情報の漏洩に繋がったり、誰かの権利を侵害したり、炎上事件の発端となってしまうのです。
たった一枚の写真が、その人の人生を狂わせてしまうこともあり得ます。

そのようなトラブルを防ぐために、写真の問題をどのように子どもたちに伝えるべきか、解説します。

写真から個人を調べるのはカンタン

自分の写真を撮ってネットに投稿するということは、自分の顔を世界中に見せるということです。「友人だけに見てもらいたい」写真でも、ネットに投稿した時点で「誰もが見られる」と考えなければなりません。

というのも、LINEのようにグループだけが見られる写真だとしても、グループの誰かがその写真を別の場所にアップロードすれば、結局世界中に公開されることになるからです。

自分の顔が世界中に見られたからといって、何が問題なの?と思うかもしれません。
しかし、写真には他にも様々なものが写っています。自分の名札が写っていたり、自宅や部屋が写っていたり、学校が写っていたり…。
これまでの文字の投稿やプロフィールなどを照らし合わせれば、どこの誰なのかが簡単に分かってしまうのです。もし悪人がそれを知ったら、誘拐することすらできてしまいます。

ですから、一番良いのは「自分が写っている写真は投稿しないこと」。
どうしても投稿したい場合は、自分の名前や居場所が簡単に分かるものが写っていないか、よく確認します。
また友だちと一緒に撮った写真は、それを投稿してよいか、必ず事前に確認して許可をもらいましょう。街で見かけた有名人や、知らない人をこっそり撮影してアップするのも、許可がないのですから絶対にいけません。

悪ふざけの写真で炎上すると、一生残り続ける

写真でもっとも怖いのは「炎上」です。
悪ふざけの写真を投稿したばかりに、たくさんの人から責められ、自分はおろか家族のことまで調べ上げられ、取り返しのつかない大事件に発展してしまうことが毎年発生しています。

ふざけてコンビニの冷蔵庫に入った写真を投稿した人、万引きのふりをしている写真を投稿した人、誰かをからかっている様子を投稿した人。
本人は面白投稿のつもりだったのでしょうが、本名や学校名、アルバイト先などがこれまでの投稿から特定され、家族や友だち、学校にまで大変な迷惑をかけてしまいました。

ネットの世界は「大人も子どもも平等」で、子どもであっても許されないことをすれば責められます。子どもの悪ふざけだからと許してはくれません。

しかも、その出来事はネットにずっと残ります。
たくさんの人がその事件について書き込みますので、全部を消すことはとてもできません。どんなに反省しても、ネット上ではずっと「炎上事件を起こした人」として残り続けてしまうのです。

でも、そもそも悪ふざけは、写真を撮るかどうかに関係なく、いけないことです。
人に迷惑をかけない、その当たり前のことを守ることが大切です。

「自分だけは大丈夫」を防ぐために

大人の感覚からすると、「なぜ騒動になるのが明らかなことを投稿するのか」と首を捻ることもあるでしょう。
これは、危険を分かっていても「自分だけは大丈夫」と思っているのがひとつの理由です。

そしてもうひとつは「写真が公開される」ことへの意識が低いことが考えられます。
友だちにしか見られないと思い込んだり、どうせ自分の投稿なんて注目されない、とタカを括ったりしているのです。

私たちは、何度も繰り返して危険を教えることで、こういった思い込みや誤解を防がなければなりません。
個人情報が漏れれば犯罪に巻き込まれる危険があり、炎上事件が起きれば学校も無関係ではいられません。

何より、子どもがネットで一生の後悔をすることがないように。
それが、子どもにスマホやゲーム機を与える大人の責任ではないでしょうか。

著者プロフィール

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

千葉大学工学部卒。輸入業、出版を経て株式会社ウォンツへ。輸入ビジネスでいちはやくインターネットに触れる機会を得て、技術者としてITやネットに関わるようになる。その後、ITマニュアル翻訳、パソコン映像教材制作、書籍の執筆に携わるほか、プログラマとしてeラーニングやアプリの開発を行い、IT教育の最前線で多数の実績を残す。
近年、子どもとネットの関わりが社会問題化したことを受け、子どもたちへの情報モラル啓発活動を志して「一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)」を設立。子どもたちが、ネットやIT機器を、正しく安全に使いこなすための講演活動を行っている。

一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)
Facebookページ:https://www.facebook.com/jima.info

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