【保護者編・2】ゲームで数十万!? ネットでの金銭トラブルはなぜ起きるのか

2015年9月11日

クレジットカードを見たら、見知らぬ請求が数十万円…! 保護者の知らぬ間に、子どもがネットで大金を費やしてしまった、というトラブルが頻発しています。
ネットゲームを例にして、ネット上で「いつ」「どんな形で」お金が使われているのか。金銭トラブルを起こさないために、保護者は何に注意をすればよいのかを解説します。

ネットゲームは「無料」?

ネットで “お金を払う” ときはどんな場合でしょう?

  • 通信販売のように「形があるもの」を買う場合
  • ネット映画のように「形がないもの (サービス)」を買う場合 があります。

このうち、子どもがトラブルを起こしやすいのは圧倒的に後者です。
形が残らないため、いつ何にお金を使っているのか、保護者が把握できないままに何十万円という大金を費やしてしまうことがあるのです。

この代表例は「ネットゲーム」です。ネットゲームはダウンロードすればすぐに始められますから、昔と違って「形がないもの」に当てはまります。
しかも、昨今のネットゲームは「無料」で始められるのが一般的です。つまり、「ゲームは買っていない」のです。

ではどうしてお金がかかるのか?
ここが今回のポイントで、ぜひ保護者の皆様に知っていただきたい点です。

その都度お金を払う「アイテム課金」

この一見不思議な仕組みを、ゲーム会社は「基本無料」と表現しています。
“基本的に無料” という意味ですから、実際に無料でゲームをし続けることもできます。

ではいつお金が必要になるかというと、「ゲームを有利に進めようと思ったとき」です。
ゲームのご経験の無い方のために、なるべく単純化してご説明しましょう。

多くのゲームには、「(ゲーム中で得る)お金で何かを買う」という概念があります。
クルマのレースゲームでしたら、馬力の高いエンジンを買うことで、より速く走れるようになる、といった具合です。
お金を手に入れるには、レースに勝って賞金を手に入れなければなりません。この「少しずつ強くなる」過程がゲームの醍醐味でもあります。

ところが、ここに「エンジンをリアルマネー (現実のお金) で買う」という別の方法を用意したのが、昨今のネットゲームの特徴です。

レースに勝たなくても、リアルマネー (現実のお金) を使えばいきなり速く走れます。
つまりゲームが有利になるので、そこに価値を見いだせる人だけリアルマネーを払って下さいね、ということです。

ゲーム全体ではなく、エンジンという「アイテム」に対して個別にお金を払うことから、このような仕組みを「アイテム課金」と呼んでいます。

お金を払う方法

この「アイテムを買う」のに必要なリアルマネーは、一回当たり数百円程度です。
決して高い金額ではないのですが、繰り返しているうちに感覚が麻痺してしまい、気がつけば数十万円、ということが実際に起きています。

ゲームメーカー側も、年齢を確認して購入金額に上限を設ける、といった対策はしています。しかし、多数のゲームに併行してお金を注ぎ込めば、結局同じことになります。

こういった事態を防ぐために、まず気をつけたいのが「クレジットカードを子どもの分かる場所に置かない」ということです。
意味が分からないままにカードを探し出して番号を打ち込んでしまうことがあります。
また、カード決済に必要な情報が残ったスマホを放置していたところ、幼稚園児の子どもがそのスマホで遊び、ゲーム中にカードで8万円ものアイテムを購入した、という事例もあります。

ではクレジットカードを金庫に入れれば安心かというと、必ずしもそうではありません。
コンビニなどで、アイテム課金のための「プリペイドカード」が売られているからです。
これは1,000円~10,000円程度で購入するカードで、クレジットカードがなくても、このカードの金額分だけ、ゲームへの支払いを行うことができます。

この場合、クレジットカードのように底なしということはありませんが、お小遣いが全部プリペイドカードに消えている、といったことはあり得ます。

使いすぎを防ぐために

こういった使いすぎを防ぐためにも、ゲーム機やスマホを買い与える前に「ネットゲームは無料と書いてあっても、実際にはお金がかかる」ことをしっかり伝えてください。

多くのネットゲームでは支払履歴が表示できますので、それを定期的に保護者に見せることを「ゲームにお金を使う条件」とするのもひとつの方法です。

そして何より「お金は大切なもの」であることを、しっかり子どもに伝えることが大事ではないでしょうか。

ゲームに限らず、「形がないもの」は大人でも浪費に繋がりやすいものです。
本当に必要かどうかを考える癖を、子どもの頃から身につけることが将来に役立つと思います。

最後に、もし実際にトラブルが起きてしまったときは、お住まいの自治体の消費生活センターに相談しましょう。
必ずしも金銭的な解決が導けるわけではありませんが、適切な相談先や、ゲームメーカーへの連絡などを助けてくれます。

相談先は、下記の「相談窓口一覧」の「消費者相談」をご覧ください。

著者プロフィール

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

一般社団法人日本情報モラル推進機構 理事長 竹村順吾

千葉大学工学部卒。輸入業、出版を経て株式会社ウォンツへ。輸入ビジネスでいちはやくインターネットに触れる機会を得て、技術者としてITやネットに関わるようになる。その後、ITマニュアル翻訳、パソコン映像教材制作、書籍の執筆に携わるほか、プログラマとしてeラーニングやアプリの開発を行い、IT教育の最前線で多数の実績を残す。
近年、子どもとネットの関わりが社会問題化したことを受け、子どもたちへの情報モラル啓発活動を志して「一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)」を設立。子どもたちが、ネットやIT機器を、正しく安全に使いこなすための講演活動を行っている。

一般社団法人日本情報モラル推進機構 (JIMA)
Facebookページ:https://www.facebook.com/jima.info

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